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人間って…

  人類は二足歩行を始めたことによって大脳が発達し、空いた両手で道具を使うことによって動物界とは一線を画する存在となったという説があります。

  一方動物の側では、例えば犬の嗅覚は人間の何百万倍とか何千万倍とか言われており、しかもその匂いを記憶する能力が優れているおかげで、警察犬や麻薬捜査犬として活躍したりしています。あるいは渡り鳥は太陽や星、さらには地球の磁場などを利用して方角を知り、中には1万キロ以上を移動する種類もあるほどの能力を身に付けています。

  そんな比較をしてみると、人間に備わった能力ってひどく貧弱なものに見えますよね。
人間は道具を取り上げてしまえばほとんど無防備で、サバンナなどなら一夜を生き延びることさえ難しいでしょう。
  しかもたとえ優れた道具を手に入れても、いざそれを使う段になると勘違いしたり度忘れしたり、時には人に遠慮してタイミングを逃したりと、様々なミスで全てをぶち壊してしまうことも度々です。


ヒューマンエラー

  そう、これが「ヒューマンエラー」と呼ばれる、人間の持って生まれた特性なのです。人間工学(Human Factors)という学問は、このヒューマンエラーを犯さずに済むような道具や環境を考えるために生まれました。つまり人間の知恵・英知といったものを総動員して、限りある人間の能力をフル活用し、道具と一体となった総合力で勝負しようというわけです。
  つまり動物たちの優れた野生の能力に対抗できるのは、人間の知恵と想造力(*)しかないということなのです。

(*) 想造力=想像力と創造力を合わせた造語

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  どんな職場においてもヒューマンエラーは厄介者ですが、とりわけ旅客機のコックピットでパイロットたちが犯すエラーは、それによって引き起こされる結果があまりにも甚大で悲惨であることから、早くからエラー防止の方策が練られてきました。機械の信頼性を上げ自動化を進めることによってヒューマンエラーの発生を抑えるとともに、万が一エラーをしても事故にまで結びつけないためのフェールセーフやフールプルーフといった機構を取り入れるなどの工夫を凝らしたのです。

  しかしそれでも航空事故をゼロにすることはできませんでした。


CRM

最後に残るのは人間であるパイロットたちの能力を上げること
それでは一体どんな能力をどんな手段で与えるのか

  そこに登場したのがCRM(Crew Resource Management)という考え方です。
当サイトはこのCRMを理解するための「航空読み物」風解説書を目指しています。
飛行機オタクも安全オタク(?)も、みんなが興味を持ってくれるようなサイトを目指して努力していますので、ぜひとも目を通していただければ幸いです。

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