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4-5-3 言葉を伝えるコミュニケーション

  前節までは実際に起こったインシデント事例を題材にしてコミュニケーションを考えてみましたが、結論はやっぱり「間違いなく伝える」ことが一番大事、ということでしたね。

  そもそもコミュニケーションとは「言葉・文字・身振りなどによって、意思・感情・思考・ 情報などを伝達・交換すること」などと定義されており、単に「情報の伝達」に留まらず非常に多様な機能を持ち合わせています。というより一般的に世の中では情報伝達という基本機能よりも、ある特定の「集まり」の中の人々の「つながり方」、つまり人間関係を形成するための重要なツールと捉えられていると言っていいかもしれません。

  しかしコックピットでのコミュニケーションは人間関係重視のコミュニケーション術とは違い、第一義的に情報の受け渡し、そして運航に関わる指示・命令が間違いなく行われることを目的としています。  このようにコックピットにおけるエラー防止・事故防止を目的として、クルー(チーム)を機能させることを最優先とするコミュニケーションを、CRMでは「クルーコミュニケーション」と呼んでいますが、このサイトの中ではいちいち区別せずに単に「コミュニケーション」と表記することにします。

ということで、コミュニケーションがクルー(チーム)のパフォーマンスに影響を及ぼす機能に絞って考えると、以下の5つの重要な機能を挙げることができます。

① コミュニケーションは「情報」を提供する
② コミュニケーションは「対人関係」を確立する
③ コミュニケーションは「行動パターンの予測」を可能にする
④ コミュニケーションは「(フライト)業務、モニターに対する注意力」を喚起し、維持する
⑤ コミュニケーションは「マネージメント」のツールである

  ここではこんなイメージを頭に置きながら、言葉を使ったコミュニケーションについて考えていきましょう。

4-5-3-(1) コミュニケーションと言語
4-5-3-(2) エラーを防止するコミュニケーション
4-5-3-(3) 2ウェイコミュニケーション
4-5-3-(4) 人間と機械のコミュニケーション
4-5-3-(5) マリンコンセプト
4-5-3-(6) 3ステップコミュニケーション
4-5-3-(7) 情報の共有
4-5-3-(8) コミュニケーションの阻害要因

4-5-3-(1) コミュニケーションと言語

  情報をやり取りするためのツールとくれば、まずは言葉が頭に浮かびます。しかし私たちが人と「話」をする時に使っているツールは本当に言葉だけでしょうか。  実はコミュニケーションの手段としての言語は次のように分類することができます。

言語マトリクス

  ちょっとややこしいかもしれませんが、通常の会話は左半分の音声コミュニケーション、全く言葉の通じない外国に行ったときは 右半分の非音声コミュニケーション。あるいは電話やインターホンは左上だけ、手紙・メールや手旗信号は右上だけ、パントマイムなら右下だけとでも考えれば分かり易いでしょうか。

  簡単に言うと上半分の言語コミュニケーションは、あくまでも純粋な情報だけを伝え、下半分の非言語コミュニケーションは、主として発信者の感情などデリケートな情報を言語に付加することによって、コミュニケーション全体としての厚みを増しているということになります。

  さらに、通常の会話の中で交わされる全てのメッセージのうち、純粋な言葉によって伝えられるのはわずか35%にすぎず、残りの65%は補助言語(非言語と準言語)によって伝達される、と非言語コミュニケーションの研究者であるレイ・L・バードウィステルは言っています。

純粋言語と補助言語

  普段私たちはそんなことも大して意識せずに他の人と情報のやりとりをしているために、仕事や人間関係がうまくいかないなどの様々な問題が起こってしまっているのかもしれません。

  人間関係をうまくしたい、変えたいという目的のためには非言語コミュニケーションに対する意識を強く持つ必要があるということになるわけですが、その辺のところは少し後回しにして、ここではまず言語コミュニケーション、とりわけ音声コミュニケーションによる情報伝達について考えてみることにしましょう。

4-5-3-(2) エラーを防止するコミュニケーション

4-5-1 ANA18便とANA181便で見ていただいたように、情報を伝える中で最も重要なポイントとなるわずか一つの言葉(この場合は便名)が正確に伝わらなかっただけで、これだけ重大な(危険に直結しそうな)事態となってしまうことが起こり得ます。
  とりわけコックピットにおける外部との主たる連絡手段は無線通信です。ご存知の通り無線通信は完全に音声のみによるコミュニケーションですから、いかに言葉を正確に伝え合うかだけが問題になります。そのほかインターコム(インターフォン)や電話なども音声コミュニケーションですね。

  突然結論めいたことを書いてしまいますが、どんな種類のエラーにも共通して言えることは、エラーを防ぐための最後の防波堤は「警戒心」だということです。これは危機管理の重要な要素として後述するつもりですが、警戒心と想像力さえあればあらゆる不利な状況をはねのけることができます。  例えばこれも4-5-1で書いた442便と402便の混同の例ですが、こんな状況だと相手が聞き間違えるかもしれないな、と想像するだけで警戒心が働き、442と強調して発音することによって聞き間違いを防ぐことができる、というわけです。

  つまり、音声のみによって情報を伝えなければならないような状況であれば、普段顔を合わせながら話す時よりも数段高い警戒心を持っておかなければならないのです。相手にどう聞こえるか、どう取られるか(理解されるか)を想像しながら話すことが必要です。

  しかしそうは言っても、作業が複雑になったりテンポが速まったりしてくると、なかなかそこまで気が回らなくなってくるのが人間だということは、もうすでに何度も書きました。ましてや言葉というものは、人間として生まれその成長の第一歩として口にした時以来、ほとんど無意識のうちに使いこなせるまでに体に染みついた機能です。そこに「意識」を持ち込むこと自体、ある意味自然に反する行動なのかもしれません。

4-5-3-(3)2ウェイコミュニケーション

  以前からよく耳にするものに「2ウェイコミュニケーション」という言葉があります。これは情報の送り手と受け手が、情報をキャッチボールのように相互にやり取りする双方向コミュニケーションを意味し、このコミュニケーションによって双方の情報認識の食い違いを防ぐことができると言われています。

  一方ラジオやテレビなどのメディア、あるいは駅や空港のアナウンスなどは双方向ではない、つまり一方通行のコミュニケーションということになります。しかしこの章の最初に書いたようにコミュニケーションは「情報を伝達・交換する」ものですから、これら一方的に伝えるだけのものは文字通り「送りっ放し」の「放送」であって、コミュニケーションとは一線を画するべきでしょう。

  いずれにしても、受け取った情報に対して返答をしたり、あるいは追加情報を送り返したりといった何らかの反応を示すことによって、情報の伝達・交換が成立していることを確認できる、というのがこの2ウェイコミュニケーションのミソです。少なくとも言いっ放しではないことは確かですね。

4-5-3-(4)人間と機械のコミュニケーション

  少しだけ話を変えますが、皆さんは人間と機械が会話する、しかも2ウェイで、などという状況を意識したことがあるでしょうか。これはなにも今はやりの音声認識機能付きのスマホやロボットに限った話ではありません。全く普段の生活の中でも実は誰もが機械と情報交換をしているのです。

  ちょっとシンプルな例で考えてみましょう。まずは部屋の照明スイッチです。部屋が暗いなと感じたらスイッチをオンにしますよね。そうすると部屋がパッと明るくなります。だからほとんどの人は「スイッチを入れる動作」がイコール「部屋を明るくする」ことだと思い込んでいます、というよりそんなことさえ意識していないことが普通でしょう。  しかしよく考えてみると、壁のスイッチは単に電気回路を接続状態に切り替えるだけの機能しか持ってはいません。つまり「スイッチをオンにする」という行動は「明るくする装置」に命令を下しただけで、その命令に従った照明装置がランプに電流を流し発光させたことによってまわりが明るくなった、というのが事の顛末です。


  これが例えば部屋の外の廊下の照明だったらどうでしょうか。スイッチをONにしても別に自分のいる部屋が明るくなるわけでもなんでもありません。電気が点いたはずだと思っていても、もしかしたら違うスイッチを操作してしまったかもしれません。誰かのために明るくしておいてあげようと思ったのに、実際は真っ暗のままで、どうして点けといてくれなかったの!と怒られるかもしれないですね。ちょっと外に出て確認しておけばよかったと後悔してもあとの祭りです


  これが人間と機械のコミュニケーションです。要するに自分が思った通りに機械が働いてくれているかどうかを知るためには、自分が下した命令に対する機械の返事を聞かなければならないのです。そして機械からの返事というのは実に様々な形で返ってきます。上の例でいえば「明かりが点く」ことですが、例えば音がする、動きだす、振動があるなどが基本でしょう。何らかの「装置」ということになると、ほとんどの場合作動状況を確認するためのインディケーターが付いています。それも今や赤や緑のLEDが点灯したり点滅したり、あるいは温度や圧力がディスプレイ上にデジタルで詳細に表示されるだけでなく、一部の家電ではあたかも人間が知らせてくれるように、音声で情報を伝えてくれる時代になりました。

  ま、それはともかく、前項の2ウェイコミュニケーションはこうして人間と機械との間にも存在し、機械が人間の思惑通りに働いてくれていることを確認するためには、これらの返事(情報)をしっかり確認することが不可欠だということです。スイッチは間違いなく入れたから大丈夫、キーボードをしっかり見ながら数字を入れたから間違いない。これで何らかの失敗をした経験がある人は多いでしょう。問題はスイッチをちゃんと入れたかどうかではなく、機械が思った通りに動いてくれているかどうかなのですから。

  飛行機のコックピットでは早くからこの考え方を手順として取り入れてきました。例えば飛行機操縦のための重要な装置であるオートパイロット(2.パイロットの仕事の2-1 に詳しく紹介しています)ですが、スイッチの押し間違いが直ちに危険に直結する操作であるがゆえに、モードの変更などのスイッチ操作を行った際は、ディスプレイに表示されるインディケーションを必ず読み上げて、正しく作動していることを確認することが義務付けられています。  これは、例えばLNAVスイッチ(Lateral Navigation* )をONにすると、目の前のフライトディスプレイの上部に「LNAV」の表示(フライトコンピューターが指示を受け付けて、正常に作動が開始されたことを示している)が現れます。それを確認したパイロット達はそれぞれが「LNAV(エルナブ)!」とコールアウトすることによって、機械と人間、そしてそれだけでなく二人のパイロットの間の相互確認までもが完了するというわけです。

※FMC(Flight Management Computer)は飛行経路を垂直方向(Vertical)と水平方向(Lateral)に分けて計算してい
ます。LNAVは水平方向、つまり地図上の経路を管理し、VNAV(Vertical Navigation)は高度や上昇・降下の管理
を行っています。LNAVモードは飛行経路をコンピューターの指示に従って飛行するモードです。



  いずれにしても人間同士のコミュニケーションと同じと考えて、機械装置に何らかの入力操作を行ったら必ず機械からの返事を確認する、つまり2ウェイコミュニケーションが成立するように心がけ、習慣付けることが入力エラーを防ぐための最も有効な手立てだということを忘れてはなりません。

4-5-3-(5) マリンコンセプト

  ここでは「マリンコンセプト」という言葉を紹介しておきましょう。マリンコンセプトとは米海軍において、艦船内での命令伝達を確実なものにするために考えられたコンセプトです。  ご存知の通り大型船舶の操舵室はブリッジ(船橋)に位置し、軍艦の艦長は双眼鏡などで周囲の状況を確認しながら操舵士や機関士に指令を出すことによって、船を思うように操っていきます。一昔前の船であれば遠く離れた船底近くの機関室にいる機関士とは、伝声管を使って指示を出していたことでしょう。

  それはこんな具合です。例えば艦長が伝声管に向かって「機関全速前進!」と指令を発します。すると機関長は同じく伝声管に向かって「機関全速前進!」と復唱してから、操作盤に向き直ってエンジンを全速前進にセットし、作動を確認した後に再び伝声管に向かって「機関全速前進!」と繰り返し呼称します。そして最後の確認呼称を艦長が受け取った時点で初めて一連の行動指令が完了する、という具合です

マリンコンセプト

  このようにして、意思伝達の確認と、動作(操作)の確認を同時に完了することを目的として生まれたのがこのマリンコンセプトというものですが、コックピットの中でもこれと全く同じ考え方が取り入れられており、それはパイロットの操作手順規則の中にも明記されています。例えばANAでは「Standard Response to Order」として、飛行機運用規程に定められていますが、それは具体例でいうとこんな具合です。

【機長(PF)がマニュアルで(手動で)操縦中、副操縦士(PM)に対してヘディングカーサ―(ナビゲーションディスプレイ上の予定針路を表すインデックス)を、旋回予定針路にセットするよう指示を出す場面】

(PF)「Set heading 210!」(ヘディングカーサ―を210度にセットしてくれ)
(PM)「Roger, heading 210!」(了解。ヘディングカーサ―を210度にセットします)
<副操縦士はヘディングセレクターノブを回してヘディングカーサ―を210°にセット>
(PM)「Heading 210, Set!」(ヘディングカーサ―を210度にセットしました)
<機長はディスプレイ上のカーサ―が210°にセットされていることを確認>
(PF)「Heading 210, Check!」(210度を確認した)

4-5-3-(6) 3ステップコミュニケーション

  確かにマリンコンセプトは、2ウェイコミュニケーションの進化型というか応用版として非常に合理的に出来上がっていると思いませんか。そしてそれに比べると2ウェイコミュニケーションの、「情報が相手に伝わったかどうかが確認できる」程度では心もとなさ過ぎる気がしてきますよね。エラーが許されないような状況では、情報の内容が「正確に伝わった」上で、相手が「正しく理解」したかどうかまでを瞬時に確認する必要があるのです。さらに「正しく反応(行動)」しているかどうかまで確認できれば言うことはありません。

  ということで、このマリンコンセプトの考え方そのままに、日常遣いができるようにシンプル化したコミュニケーションコンセプトが「3ステップコミュニケーション」です。

3ステップコミュニケーション

  例えばメールやラインで、「じゃ明日、駅前交番の前で10時半にね」と書いたら、その返事が「了解」とだけ戻ってきたとしたらちょっと不安が残ります。でも「OK、駅前交番の前10時半ね」と戻ってくれば、ああ、ちゃんとわかってもらえてるな、と思えるはずです。さらに自分が発信した情報が正しかったことも改めて確認できるメリットもあります。もちろん情報を受け取った方もまた、復唱をすることによって意識にしっかり刻み込まれるに違いありません。

  イラストを見ていただければもう特に説明はいらないでしょう。要は「はい」、「わかりました」といった「返事」だけではなく、情報の内容を復唱するだけ、という簡単さです。習慣にさえしてしまえば特に難しいことも何もありません。このコンセプトは医療スタッフ同士の情報交換を間違いのないものにするために、既にいくつかの病院に導入されています。皆さんも是非一度意識して試してみていただければと思います。

4-5-3-(7) 情報の共有

  チームワークというものは、チームの全員が共通の目的意識を持っていなければ成立しません。そしてその共通の目的に向かって調和をもって一斉に動くためには、個々の持つ知識や技術を効率的に活用しなければならず、そのためには共通の現状認識を持っていること、つまり自分たちは今何をしようとしているかを分かっていることが不可欠な条件になるのです。チームがどうしようとしているのかがわかれば、その中で「自分」は何をするべきなのかがわかります。

  それではそのためには何をしたらいいのか。その第一歩が「情報の共有」です。単純に考えれば共有すべき「情報」とは、たとえばコックピットであれば今後の航路情報であったり気象情報がまず頭に浮かびます。さらに機器や燃料に関する新しく加わった情報や、次々と現れる新たな出来事に関する情報といったところでしょうか。コックピット以外の、例えばキャビンのパッセンジャーやCAの状況もありますね。

  実際、業務内の会話のほとんどがこのような状況認識の一致を図ることを目的とした、情報共有のためのコミュニケーションで占められているはずです。そんな中で言葉の行き違いや思い込みなどで正確な情報伝達ができなかったとしたら、各々の意思はバラバラで噛み合わず、たとえメンバーが何人揃っていたとしてもチーム機能は発揮されず、それどころか結果として互いに足を引っ張ることにもなりかねません。だからこそ私たちは、常に確実なコミュニケーションを成立させることを心掛けなければならないのです。

4-5-3-(8) コミュニケーションの阻害要因

  色々見てきましたが、言葉によるコミュニケーションは業務の安全性のみならず、チームの機能を最大限発揮するためにも非常に重要な要素であり、その具体的な最終目標は互いの認識の一致を図るための情報共有であるということがわかりました。しかし私たちの周りにはそんな大事なコミュニケーションの効果を失わせ、それどころか聞き間違いや誤解を生んでしまうような事態に陥れるための仕掛けがそこら中に隠されています。

  すでに 3-4-1  ストレスと人間で述べたように、人間にははっきりしない物事を自分の都合のいいように補正して受け取ってしまう悪い癖(特性)があります。例えばテネリフェでのKLM便の副操縦士は、無線がザーッといったまま何も聞こえなかった時に、相手から返事がないということは自分たちは間違ってはいないのだな、と思い込んでしまいました。あるいは大阪空港でのANA18便の機長は、早く離陸させてくれればいいのに、と思っていたところで聞こえてきたANA181便への離陸許可を、自分に向けたものだととっさに判断してしまったのです。

  このように円滑なコミュニケーションが阻害されることによって、聞き間違いや思い込みなどが引き起こされることが必然であるならば、コミュニケーションを阻害する要因を熟知しておくことによって、そんな状況に陥らないための対抗策も浮かんでくるということになります。

  ということで、円滑なコミュニケーションを阻害するいくつかの要因について、ここで確認しておきましょう。

  ちょっとだけ見ておきましょう。まずは内容に関して、最も身近な要因は情報量についてです。人間は一度に大量の情報を処理できないことは既に述べました。情報を発信する側は、一回の情報量を適度な範囲に抑えられるように注意を払わなければなりません。一度にいくつもの指示を出したりすればすべてを覚えることすらできません。私達は絶対に聖徳太子にはなれないのです。

  また、事実と推測が入り交じったような不明確な情報は、受け手に大きな混乱をもたらす恐れがあります。人づての情報も基本的には排除すべきです。たとえば「後方キャビンが燃えているようだと中央キャビンのCAが言っています!」などは、事実である確証もない人づての内容であり、緊急時には絶対に発してはならない情報なのです。私たちパイロットはCAたちに対しては、クルーブリーフィングで「何か気付いた人は必ず自分でインターホンをしてください」と話すようにしています。

  次に表現に関するものとしては、不明確な言語や用語の使用、聞き取りにくい不明瞭な発音や速すぎる言葉等があります。また状況にマッチしない音量もまた円滑なコミュニケーションを阻害する原因となります。  もちろん相手に対して話しかける(コミュニケーションを開始する)タイミングも重要です。相手が何か別のことをやっていたり、考えたりしている時に突然話しかけてもスムーズに伝わらないどころか、混乱させてしまいエラーを誘発する可能性すらあるのです。

  そしてそれ以外にもお互いの価値観の差違、勝手な思い込みや偏見なども問題になります。また居丈高にしゃべる、丁寧過ぎて回りくどくなる、真剣に聞くそぶりも見せないなど、話し手、聞き手の態度もコミュニケーションの阻害要因となってしまいます。

  いずれにせよ、円滑なコミュニケーションを完成させる最大のポイントは、自分の意思を間違いなく相手に伝えたいという気持ちです。その気持ちがあれば、間違いなく相手に伝わったかどうかの確認もごく自然に行うことが出来るはずなのです。


いかがだったでしょうか。少々長くなってしまいましたが、コミュニケーションの中でも言葉を使った情報のやり取りでは、ちょっとした気遣いで業務の効率や安全性、とりわけヒューマンエラーの防止に大きな効果を期待することができるということを理解していただけたでしょうか。このあと<4-6 チーム機能を向上させるために>では、チームを活かすコミュニケーションに関する具体的な行動指針を紹介する予定です。

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